法律を完璧に守ると社会が回らない時代|一般ドライバーが取るべき3つのスタンス
はじめに
1回目では「つま先タッチだけで止まったことになるのか?」という話を。
2回目では「黄色線の道で自転車を追い越すのは、ほぼ不可能」という衝撃の事実を書きました。
ここまで読んでくださった方は、きっとこう感じているはずです。
今回は、この連載の最終回として、「法律が現実と合っていない時代に、私たち一般人はどう生きればいいのか」を、正直に考えてみたいと思います。
大前提:「法律を100%守れば安全」は、もう幻想
まず最初に、ちょっとショッキングなことを書きます。
今の日本の交通ルールは、100%完璧に守ると、社会が回りません。
これは大げさな話ではありません。例えば:
- 自転車追い越し問題:黄色線の道では、法律上、自転車を永遠に追い越せない
- 制限速度問題:多くの幹線道路で、制限速度通りに走っているのは1割以下
- 歩行者優先:信号のない横断歩道で必ず一時停止している車は、全国平均で約半分程度
つまり、真面目に法律を守ろうとすればするほど、周りから浮いてしまうんです。
でも、だからといって「全部無視」はダメ
「じゃあ法律なんて守らなくていいじゃん」と思うかもしれません。
でも、それはそれで危険です。なぜなら:
事故が起きた瞬間、ルールが効いてくる
普段は黙認されていても、事故が起きたら警察は法律で判断します。
- 普段、みんな制限速度40kmの道を60kmで走っている
- あなたもいつも通り60kmで走っていた
- その時、飛び出してきた歩行者と事故
- → 「速度超過で走っていた」として、あなたに大きな過失が認められる
「みんなやってるから」は、事故の現場では通用しないんです。
じゃあ、どうすればいいの?
私が調べて、そして個人的に感じた「現実的なスタンス」は、これです。
① 「法律=ルールそのもの」ではなく「法律=保険」と考える
法律は、普段は気にしなくても、いざというときに自分を守ってくれる武器です。
- 普段は流れに合わせる
- でも「ここはヤバそう」と感じた時は、法律通りに戻す
- 事故を起こしたくない相手(救急車、警察車両、歩行者など)がいる場面では、絶対に法律を守る
② 「警察がどこまでOKとしているか」を読む
前の記事でも書きましたが、警察には「指導取締り基準」という、どこまでがセーフかを決めた内部ルールがあります。
ただ、これは現在は非公開になっています。昔は公開されていたそうですが、今は「時と場合によって判断します」という説明になっています。
だから私たちは、こんな情報から推測するしかありません:
- ニュースで報じられる取り締まりの内容
- 実際に捕まった人の体験談
- 警察の交通安全キャンペーンの重点項目
- YouTubeなどで警察官OBが解説する動画
この辺りを見ていると、「何が本当にダメで、何が見逃されやすいか」のさじ加減が、だんだん分かってきます。
③ 「自分で自分を守る」発想を持つ
一番大事なのは、これかもしれません。
法律を守っていても、事故は起きる。法律を違反していても、事故を起こさない人もいる。
- 黄色線を少しだけはみ出してでも、自転車との距離を十分取る
- 停止線で完全に止まらなくても、左右の安全確認は絶対にする
- 制限速度を多少超えていても、子どもが飛び出しそうな道は減速する
法律の文字を守ることより、本当の意味で「誰も傷つけない」運転をすることの方が、最終的には自分も周りも守ります。
「法律を変えろ」と言いたくなるけど…
ここまで読んで、「そもそも法律を変えろよ!」と思う人も多いはず。私もそう思います。
でも現実は、前回書いた通り。
2024年の道路交通法改正は、衆議院も参議院も全会一致で通りました。
自民・公明・立憲・維新・共産・国民・れいわ…全部の政党が賛成。
つまり、「政治に期待しても、変わらない」のが現実なんです。
じゃあどうする? 私たちにできることは:
- 警察の意見募集(パブリックコメント)が出たら、意見を送る
- SNSで問題を指摘して、声を広げる
- 問題が起きた時、ちゃんと記録・報告する
- 選挙のとき、交通政策について考えている候補者を選ぶ
小さいことですが、こういう声の積み重ねで、法律が見直されることもあります。
結局のところ
長々と書きましたが、私が伝えたかったのはこの3つです。
完璧に守れないのは、あなたの運転技術や道徳心の問題ではなく、法律そのものが現実に合っていないからです。自分を責めないでください。
法律は「保険」。事故の時に効いてきます。普段は流れに合わせつつ、要所要所で守る、というバランス感覚が大事です。
法律の文字ではなく、「この運転で、誰も傷つけないか」を常に考えること。これが、結局のところ、一番大切なルールです。
この3記事を書きながら、私は正直、頭を抱えることが何度もありました。
最初は「警察官が停止線で止まってなかった!」という、ちょっとした違和感からスタートしました。でも調べていくうちに、その違和感の裏側には、
- 警察の取り締まり運用と、法律の条文がズレているという問題
- 法律の条文同士が矛盾しているという問題
- そして、その矛盾を国会が全会一致で通してしまったという問題
という、どんどん大きな問題が見えてきました。
日本は、世界でもトップクラスに交通事故死が少ない国です。それは、多くの人が「法律を守ろう」と努力してきた結果でもあります。
でも、そろそろ「現実に合わないルール」を見直す勇気も必要なんじゃないかと思います。
このブログが、そんなことを考えるきっかけになれば嬉しいです。
3回にわたる長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。安全運転で、良い毎日をお過ごしください。