囲碁に女流棋戦があるのはなぜ?トップ女性棋士3人と囲碁界の仕組みをやさしく解説
囲碁のニュースを見ていると、「女流本因坊戦」「女流名人戦」といった言葉が出てきます。
これを聞いて、「囲碁って、男子と女子で大会が別々になってるの?」「スポーツみたいに、男女で分かれて戦ってるのかな?」と思う方、けっこう多いのではないでしょうか。
でも実は、囲碁のプロの世界は「男女別」ではありません。男性も女性も、同じ「プロ棋士」として、同じ大会で戦っています。
「じゃあ、なんで『女流』って名前の大会があるの?」そんなギモンを、この記事では小中学生にもわかるように、やさしく解説していきます。読み終わるころには、囲碁界の仕組みがスッキリ見えてくるはずです!
1. 囲碁のプロ棋士に、男女のちがいはない
まず、いちばん大事なポイントからお話しします。
囲碁のプロ棋士(きし)になるのに、性別はまったく関係ありません。
プロ棋士になるには、「日本棋院(にほんきいん)」や「関西棋院(かんさいきいん)」という団体が行う、とてもきびしい試験に合格する必要があります。この試験、男性だけが受けられるわけでも、女性だけが受けられるわけでもありません。男の子でも女の子でも、実力さえあれば誰でもプロになれるのです。
そしてプロになったあとも、男性棋士と女性棋士の区別はありません。みんな同じ「プロ棋士」として、同じ大会に出場できます。
囲碁の「七大タイトル」ってなに?
囲碁のプロの世界には、一番すごい大会が7つあります。これを「七大タイトル」と呼びます。
- 棋聖(きせい)戦
- 名人(めいじん)戦
- 本因坊(ほんいんぼう)戦
- 王座(おうざ)戦
- 天元(てんげん)戦
- 碁聖(ごせい)戦
- 十段(じゅうだん)戦
この7つの大会には、男性棋士も女性棋士も、全員がまったく同じ条件で出場できます。ここで優勝すれば、「名人」や「本因坊」といった、カッコいい称号(しょうごう)がもらえるんです。
2. 女性棋士が、男性のトップ棋士を倒すことも!
「でも、男の人のほうが強いんじゃないの?」そんなふうに思うかもしれません。でも、実はそんなことは全然ないんです。
今の囲碁界には、男性トップ棋士と互角、あるいはそれ以上に戦える女性棋士がたくさんいます。ここでは、とくに有名な3人を紹介します。
藤沢里菜(ふじさわ りな)さん
1998年生まれ。おじいさんは伝説の棋士・藤沢秀行(ふじさわ ひでゆき)名誉棋聖という、囲碁一家に生まれた方です。
藤沢さんのすごい記録
- 2020年、「広島アルミ杯・若鯉戦(わかごいせん)」で優勝。男女が一緒に戦う公式戦で、女性が優勝したのは囲碁の歴史で初めて!
- 女流本因坊6連覇、通算9期獲得(歴代最多)
- 七大タイトル戦でベスト8に4回進出(女性で最多)
上野愛咲美(うえの あさみ)さん
2001年生まれ。その攻撃的な打ち方から「ハンマー」の愛称で親しまれています。
上野さんのすごい記録
- 2025年、七大タイトルのひとつ「本因坊戦」で、女性棋士として史上初のベスト4進出
- 2026年、妹の上野梨紗(りさ)さんから女流棋聖のタイトルを奪い、女流三冠を達成
- 姉妹でのタイトル戦は、なんと41年ぶりの出来事でした
仲邑菫(なかむら すみれ)さん
2009年生まれ。10歳0か月という史上最年少でプロ棋士になった天才少女として話題になりました。
仲邑さんのすごい記録
- 13歳11か月で女流棋聖タイトルを獲得(史上最年少タイトル記録)
- 2024年、さらに強い相手と戦うため、韓国のプロ団体「韓国棋院」へ移籍
- 2025年、韓国の大会でも優勝を果たす
このように、女性棋士は男性棋士とまったく同じ舞台で、しかも世界を舞台に大活躍しているのです。
3. じゃあ、なぜ「女流棋戦」があるの?
ここで最初のギモンに戻ります。
「男女混合で戦っているなら、どうして『女流本因坊』みたいな女性だけの大会があるの?」
その答えは、「囲碁を楽しむ女性をもっと増やして、女性プロ棋士が活躍するチャンスを広げるため」です。
昔は、囲碁を打つ女性が少なかった
囲碁はとても長い歴史を持つゲームです。でも、昔は「囲碁は男の人がやるもの」というイメージが強く、囲碁を打つ女性はとても少なかったのです。プロを目指す女の子も、なかなかいませんでした。
そこで、
- 女性のファンを増やしたい
- 女の子にも「プロになりたい!」と思ってもらいたい
- 女性プロがもっとたくさんの対局をできる場所をつくりたい
という目的で、女性だけが出られる大会(女流棋戦)が作られました。
現在の主な女流タイトル
今の囲碁界には、女性棋士だけが参加できる大会がいくつかあります。
- 女流本因坊戦
- 女流名人戦
- 女流棋聖戦
- 扇興杯(せんこうはい)
- 会津中央病院・女流立葵杯(たちあおいはい)
これらの大会で優勝すると、「女流本因坊」や「女流名人」という称号がもらえます。
「女流特別採用棋士」という制度もある
日本棋院には、プロ棋士になるための試験が2種類あります。
- 一般採用枠(毎年5名):男女関係なく、実力でプロになれる
- 女流特別採用枠(毎年1名):女性だけが受けられる、女性棋士を増やすための枠
もちろん、女性は①の一般採用枠も②の女流特別採用枠も、どちらでも受けられます。実際、一般採用枠からプロになった女性棋士もたくさんいます。
4. 囲碁界のしくみをまとめると…
ちょっとこんがらがってきた方のために、シンプルにまとめます。
囲碁の世界には「プロ棋士」は1種類だけ。男女の区別はない。
その上で、
- 男女みんなが出られる大会(七大タイトルなど)
- 女性だけが出られる大会(女流棋戦)
の2つがある。女性棋士は、両方の大会に出場できる。
つまり、「男女別」というより、「みんなが参加できる大会」+「女性のための応援枠」のような関係なのです。
あとがき
ここまで読んでくれてありがとうございました!
囲碁の女流棋戦は、「女性のほうが弱いから別にしている」わけではなく、「もっと女性が囲碁を楽しめるように」という気持ちから生まれたものだとわかっていただけたでしょうか。
そして今、藤沢里菜さんや上野愛咲美さん、仲邑菫さんのような強い女性棋士が、世界を舞台に大活躍しています。男性棋士を倒す対局、姉妹でタイトルを争う対局、10代の天才が海外で戦う姿——囲碁の世界は、今とてもおもしろい時代を迎えているのです。
「囲碁ってちょっと気になるかも」と思ったら、ぜひ女性棋士たちの対局を見てみてください。インターネットでも中継されていますし、YouTubeなどでも解説動画がたくさんあります。
男女関係なく、真剣勝負がくり広げられる囲碁の世界。その魅力に、あなたもきっと引き込まれるはずです!