囲碁と将棋どっちが難しい?ChatGPT・Gemini・Claudeに聞いたら意外な答えが出た
「囲碁と将棋、どっちが難しい?」
ChatGPT・Gemini・Claudeに聞いてみた
ネットで永遠に議論されるこのテーマ。
3つのAIはそれぞれどう考えたのか? 個性の違いが面白い結果になりました。
はじめに ― なぜこの記事を書いたのか
「囲碁と将棋、どっちが難しいの?」――これはネット上で何年も議論されている、いわば"永遠のテーマ"です。掲示板やSNSでは、囲碁ファンと将棋ファンがそれぞれの「難しさ」を主張し合い、いつまでも決着がつきません。
そこで今回、話題の3大AIであるChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)、Claude(Anthropic)に、まったく同じ質問をぶつけてみました。
AIに感情やひいきはありません。データと論理で判断します。でも面白いのは、3つのAIがそれぞれ違う切り口で考えていたこと。同じ結論でも、たどり着く道が全然違うんです。
それでは、1つずつ見ていきましょう!
そもそも囲碁と将棋、何がどう違うの?
AIの意見を見る前に、囲碁と将棋の基本的な違いをかんたんに整理しておきます。小中学生のみなさんも、ここを読めば話についていけるはずです。
| くらべる項目 | 将棋 | 囲碁 |
|---|---|---|
| 盤の大きさ | 9×9=81マス | 19×19=361マス |
| 使う道具 | 8種類の駒(王・飛・角など) | 白と黒の石だけ |
| 勝つ条件 | 相手の「王」をつかまえる | 相手より広い陣地をつくる |
| ルールの特徴 | 駒ごとに動き方が違う。取った駒を再利用できる | どこに石を置いてもOK。ルールはシンプル |
| 難しさのイメージ | 一手のミスで一気に負ける「するどさ」 | どこに打てばいいか分からない「広さ」 |
| 局面の数(理論値) | 約10の69乗 | 約10の170乗 |
ざっくり言うと、将棋は「狭い戦場で刃物を振り回すような緊張感」があり、囲碁は「広大な海の中で方向を見つけるような難しさ」があります。この「難しさの質の違い」が、ネットで議論が終わらない最大の原因です。
3つのAI、それぞれの意見
ChatGPTは、3つのAIの中でもっとも丁寧に論を積み上げるスタイルでした。まず「難しい」という言葉の意味を3つに分けるところからスタートします。
- ①ルール理解の難しさ ― ゲームを始めるまでのハードル
- ②実戦で考える難しさ ― 対局中にどれだけ頭を使うか
- ③理論上の複雑さ ― 数学的にどれだけパターンがあるか
この3つの軸ごとに、ChatGPTはそれぞれ数値をつけました。
ルール理解では、駒の動き方を覚える将棋の方がやや難しいので「囲碁90:将棋100」。実戦の読みでは、囲碁の広さと将棋の鋭さは同格級で「囲碁110:将棋100〜110」。理論的な複雑さでは、局面数の桁が100以上違うため「囲碁140〜160:将棋100」と大差をつけました。
ChatGPTが特に印象的だったのは、このたとえです。
囲碁は広すぎてどこに行けばいいか分からない。将棋は一瞬のミスで切られてしまう。この比喩で、両方のゲームが持つ「怖さ」のタイプの違いをうまく表現していました。
また、将棋の「持ち駒」に注目し、終盤の分岐数(選択肢の数)が平均80、局面によっては200を超えるという具体的な数値を挙げて、「将棋は終盤ほど選択肢が爆発する」と指摘した点も独自のポイントです。
最終結論として、「数学的には囲碁がより難しい。人間の勝負感覚では将棋も同格級に難しい」とまとめ、総合スコアを囲碁130としました。
Geminiの回答でもっとも個性的だったのは、「ゲームをプログラムとして作る(実装する)側から見た難しさ」に言及したことです。これは他の2つのAIにはなかった、エンジニア寄りの視点でした。
- 将棋 ― 駒の動きのルールや「二歩」「打ち歩詰め」など、こまかいルールチェックの処理が複雑
- 囲碁 ― ルール処理そのものはシンプルだが、「石が生きているか死んでいるか(死活)」や「陣地の計算」を判定するプログラムを作るのが非常に難しい
つまりGeminiは、「ルールを教えるのは将棋の方が大変。でも、盤面の良し悪しをコンピュータに判断させるのは囲碁の方がずっと大変」という違いを、実際にゲームを作る立場から説明したのです。
数値化でもGeminiは独特でした。項目ごとにスコアをつけたのですが、「数学的な状態空間の複雑さ」に限れば1,000以上というケタ外れの数値を出しています。
- 終盤の読みの複雑さ:囲碁 80(将棋の詰みの方が爆発的)
- 数学的な局面数の複雑さ:囲碁 1,000以上(桁違い)
- 直感・大局観の習得ハードル:囲碁 130(自由すぎて基準がつかめない)
注目すべきは、Geminiだけが「終盤は将棋の方が難しい」と明確に数値で示したことです。囲碁80、将棋100。囲碁の終盤(ヨセ)は高度な計算ではあるものの、将棋の「詰むか詰まないか」の爆発的な分岐や、持ち駒による予想外の展開と比べると奇襲性はやや下がる、という評価です。
しかし総合では、囲碁の「自由度が高すぎて、そもそも何を基準に考えればいいか分からない」という抽象的な難しさを重視し、総合スコアを囲碁120に落ち着かせました。3つのAIの中でもっとも控えめな数値です。
Claudeは、「難しさ」を6つの項目に細かく分解するアプローチを取りました。
- ①ルールの習得 → 将棋の方がやや難しい(覚えることが多い)
- ②序盤の構想力 → 囲碁の方が圧倒的に難しい(361の交点にどこでも打てる自由度)
- ③中盤の読み → 質が違う(囲碁は広く浅く、将棋は狭く深く)
- ④終盤の正確性 → 将棋の方が難しい(一手のミスが即負けに直結)
- ⑤形勢判断 → 囲碁の方が難しい(プロでも正確な把握が困難な場面がある)
- ⑥コンピュータ解析の困難さ → 囲碁の方が難しい(評価関数を作ること自体が長年の難問だった)
6つのうち、囲碁が上回る項目が3つ(②⑤⑥)、将棋が上回る項目が2つ(①④)、引き分けが1つ(③)。項目数だけ見ても囲碁がやや優勢ですが、Claudeは「項目の数だけでなく、重みが大事」と考えました。
特にClaudeが重視したのは「コンピュータ解析の困難さ」です。将棋やチェスでは駒の損得などで盤面の良し悪しを数値化しやすいのに対し、囲碁にはそのような分かりやすい評価方法がなく、すべての石の価値が平等であるため、AIにとっても「今どっちが有利なのか」を判定するのが非常に難しかった。実際、AIが囲碁でプロに勝つのは将棋より何年も遅れました。
また、ClaudeはAlphaZeroの学習時間の差にも注目しました。DeepMindが開発したAlphaZeroが世界最強のソフトを超えるのにかかった時間は、将棋が約2時間、チェスが約4時間、囲碁が約8時間。同じAIでも、囲碁を覚えるのに4倍の時間がかかったわけです。
これらを総合して、Claudeの結論は囲碁125。ChatGPT(130)とGemini(120)のちょうど真ん中に位置する数値となりました。
3つのAIが「共通して」判断したこと
それぞれ違う切り口で分析した3つのAIですが、驚くほど一致していた部分もあります。ここでは、全員の意見が揃ったポイントをまとめます。
🤝 3つのAI全員が一致した5つのポイント
3つのAIすべてが「囲碁の方が上」と判断しました。ただし「圧倒的な差」ではなく、「少し上」という温度感も共通しています。スコアは120〜130の範囲に収まりました。
囲碁の局面数は10の170乗、将棋は10の69乗。この差は「比べものにならない」レベルであり、3つのAIとも同じデータを根拠にしています。
人間は10の170乗をすべて考えるわけではありません。定石(じょうせき)や感覚で圧縮して考えるため、実際にプレイして感じる「しんどさ」は将棋も囲碁も大きく変わらないと、3つのAIが認めています。
囲碁は「広さ・自由度・抽象性」が難しい。将棋は「鋭さ・正確性・一手の重み」が難しい。両者は別の種類の難しさであり、単純に比べられないという認識は全員共通です。
コンピュータが人間のプロ棋士に勝つまでの年数は、チェスが最初で、次に将棋、最後が囲碁でした。AlphaZeroの学習時間も囲碁が最長。AI開発の歴史そのものが、囲碁の計算上の難しさを証明していると、全員が言及しています。
3つのAI、ここが違った!個性の比較
共通点が多い一方で、各AIの「考え方のクセ」がはっきり出た部分もあります。
| 比較ポイント | ChatGPT | Gemini | Claude |
|---|---|---|---|
| 分析の切り口 | 3軸(ルール・実戦・理論) | プログラム実装の視点 | 6軸の多角的分解 |
| 独自のたとえ | 「海」と「刃物」 | ルールエンジンの実装難度 | AlphaZeroの学習時間 |
| 終盤の評価 | 将棋の方がしんどい | 将棋の方が難しい(囲碁80) | 将棋の方が難しい |
| 序盤の評価 | 囲碁が広すぎて難しい | 自由度が高すぎる | 囲碁が圧倒的に難しい |
| 総合スコア | 130 | 120 | 125 |
| 回答の雰囲気 | 丁寧で文学的 | 論理的でエンジニア寄り | バランス型・多角的 |
最終スコアまとめ(将棋=100とした場合)
| AI | 将棋 | 囲碁 | 差 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 100 | 130 | +30 |
| Gemini | 100 | 120 | +20 |
| Claude | 100 | 125 | +25 |
| 3社平均 | 100 | 125 | +25 |
3つのAIの平均は囲碁125。つまり、AIの判断としては「囲碁は将棋より2〜3割ほど難しい」というのがおおよその結論です。ただし、これはあくまで総合評価であり、終盤の鋭さや一手の重みといった個別の項目では将棋が上回る部分もあることを、3つのAIすべてが認めています。
あとがき ― 結局、どっちが難しいの?
今回、3つのAIに同じ質問をしてみた結果、面白いことが分かりました。
AIに聞くと、みんな「囲碁がやや上」で穏やかにまとまる。でもネット上の人間同士の議論は、いつまでも激しく割れ続ける。この違いは何でしょうか?
おそらくAIには、「自分がやっているゲームの方が難しいと思いたい」という感情がないからです。データと論理だけで判断すれば、局面数やAI開発の歴史が囲碁の複雑さを示しているので、そちらに引っ張られます。
でも、実際にゲームをプレイしている人間にとっては、「自分が何千時間も苦しんできたゲームの方が難しい」と感じるのは当然のことです。将棋を長年やってきた人が「将棋の方が難しい」と感じるのも、囲碁の愛好家が「囲碁の方が難しい」と主張するのも、それぞれの実体験に基づいた正当な意見です。
結局のところ、「どっちが難しい?」への答えは、"何をもって難しいとするか"で変わるということ。そしてそれこそが、この議論が永遠に終わらない理由であり、両方のゲームがそれぞれ奥深い証拠なのだと思います。
もしこの記事を読んで興味を持ったなら、ぜひ両方やってみてください。将棋の「一手の鋭さ」にゾクッとするか、囲碁の「広大な世界観」にワクワクするか――それは実際に体験した人だけが分かる感覚です。