碁石の「雪・月・花」とは?高級碁石の等級・材料・値段をわかりやすく紹介
囲碁で使う石には、黒い石と白い石があります。
「黒は黒い石、白は白い石でしょ?」と思うかもしれませんが、話はそう単純ではありません。
実は、黒石と白石では材料がちがいます。
黒石は天然の石から、白石は貝がらから作られることがあるのです。
しかも高級品になると、白石には「雪」「月」「花」といった等級がつけられ、値段は数十万円を超えることもあります。
この記事では、碁石の材料のこと、白石だけが貝がらである理由、等級や値段のことを、できるだけやさしく紹介していきます。
碁石の材料は一つではない
いちばんよく知られている伝統的な碁石の組み合わせは、次のとおりです。
黒石:那智黒石(なちぐろいし)――つやのある黒い天然石
白石:ハマグリの貝がら――やわらかく上品な白色
ただし、すべての碁石がこの材料でできているわけではありません。
学校や家庭では、ガラス・プラスチック・セラミックなどで作られた碁石もよく使われています。こちらは値段が手ごろで、初心者にも扱いやすいのが魅力です。
つまり碁石には、「伝統的で高級なもの」と「ふだん使いや入門向けのもの」の大きく2種類がある、と考えるとわかりやすいでしょう。
なぜ白石だけ貝がらなのか
「黒石は石なのに、白石はどうして貝がら?」
これは囲碁を知ると気になる、おもしろいポイントです。
理由はいくつかありますが、まとめると「白石にほしい特徴を、ハマグリの貝がらがほぼすべて備えていたから」です。
白さと光の美しさ
ハマグリの貝がらには、やわらかい光を返すような上品な白さがあります。囲碁は長い時間盤の上を見つめるゲームなので、石の見た目の美しさはとても大切です。
手ざわりのよさ
貝がらを丸く削り磨くと、なめらかで指なじみのよい石になります。囲碁では石を置くときの感触も大事にされるため、使い心地のよさも選ばれた理由のひとつです。
丈夫で長持ちすること
ハマグリの貝がらは碁石に加工しても丈夫で、ていねいに使えば長く楽しめます。
模様の美しさ
白石をよく見ると、貝がら特有の細かな線のような模様が見えます。高級な碁石ではこの模様の美しさも評価の対象になります。
白さ、光り方、手ざわり、丈夫さ、模様。
これだけの条件をそろえた素材が、たまたま貝がらだったというわけです。
黒石に那智黒石が選ばれる理由
黒石に求められるのは、白石とは少しちがいます。
深い黒であること、つやがあること、ほどよい重みがあること、丈夫で欠けにくいこと。
那智黒石はこれらをよく満たす天然石で、古くから碁石に使われてきました。
ひとつ覚えておくとおもしろいのは、黒は白ほど色や模様のちがいが目立ちにくいという点です。
そのため、高級碁石の世界では「白石の美しさ」が値段を大きく左右します。極端にいえば、碁石セットの価格は白石が決めている、といっても過言ではありません。
高級な白石の等級「雪・月・花」
高級な白石には、雪(ゆき)・月(つき)・花(はな)という等級がつけられます。
雪がもっとも高く、花がいちばん手の届きやすい等級です。
雪印
白さが美しく、模様も細かく整った最上級の白石です。見たときに「特別だな」と感じる存在感があり、愛好家のあこがれとされています。
月印
雪印の次に位置する等級です。十分に美しく実用にも鑑賞にも向きますが、模様の細かさや色合いで雪印には一歩譲ります。
花印
高級碁石の入り口にあたる等級です。粗悪という意味ではなく、しっかりした碁石ですが、白さや模様の整い方で上の等級とは差があります。
では、この等級は何を見て決まるのでしょうか。おもに次の4つです。
1. 白さ― やわらかく上品な白であるほど高評価になります。
2. 模様の細かさ― 貝がら特有の線模様が整い、きめ細かいものほど上とされます。
3. 厚み― 厚い石ほど見た目に立派で、持ったときの存在感があります。厚みが増すと値段も上がります。
4. 仕上がり― 表面のなめらかさや形の整い方。手に取ったときに「ていねいに作られている」と感じられるかどうかです。
ただし、等級のつけ方はお店や産地によって多少異なります。「雪・月・花」という名前だけで判断せず、実物の説明をよく見て選ぶことも大切です。
碁石の値段はどれくらい?
碁石の値段は、材料と品質によって驚くほど幅があります。
入門用(ガラス・プラスチック)
セットで数千円ほど。1粒あたり十数円の感覚です。囲碁をこれから始める人には十分です。
実用向けの伝統素材(那智黒石+ハマグリ)
セットで数万円から。厚みや品質が上がるとさらに高くなります。「長く大切に使う道具」という位置づけです。
高級品(雪印など)
数十万円、特に上質なものではそれ以上になることもあります。背景には、良質なハマグリの原貝そのものが年々希少になっているという事情もあります。
白石のほうが黒石より高いのか、という疑問を持つ方もいるかもしれません。
答えは、たいてい白石のほうが高いです。白さ・模様・厚み・等級と、値段を左右する要素が多いためです。
おわりに――碁石を「見る」楽しみ
碁石はゲームの道具であると同時に、長い歴史のなかで磨かれてきた工芸品でもあります。
石の重み、盤に置くときの音、指先に伝わる手ざわり。
囲碁は頭を使うゲームですが、こうした五感の楽しみもまた、囲碁の文化の一部です。
これから囲碁を始める方は、まず手ごろな碁石で十分です。
そしていつか、「この石は何でできているんだろう」「高級な碁石を触ってみたい」と思ったとき、囲碁の世界がもう一段広がるはずです。