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第08話(一)地球のような巨大な月
夕方、森の中でリンゴを取ってきた帰り………
「ムスイ、今日の夕御飯の後、何か用事ある?」
モコモコが変な質問をしてきた。そんな時間に用事などあろうはずがない。
「いや、特には。ロウソクがもったいないし、夜になったらすぐ寝ることにしてるよ」
それを聞いて、モコモコは嬉しそうな顔をする。
「それじゃあ、今日は寝ないで起きてて。面白いもの見せてあげる」
「面白いもの?」
「うん、とっても面白いもの!」
よくわからんが、面白いものらしい。
「つまり、夜にウチに来るってこと?」
「うん、そう」
なるほど、夜遊びしたいのか。
どこでそんな悪いことを覚えてしまったのやら。
でも、ま~、一回くらいは付き合ってあげるか。
「わかった。それじゃあ待ってるよ」
「うん!」
モコモコは「夜が待ちきれない!」と言わんばかりにウキウキだ。
一体、どんな計画があるのやら。
■地球に似た「月」
日は完全に沈んだ夜。
夕飯を食べ終えたモコモコは、玄関でおじいちゃんとおばあちゃんに見送られる。
「それじゃあ、おじいちゃん、おばあちゃん、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「ムスイ君の家は近いけど、気をつけるんだよ」
「うん!」
そういって、モコモコは家を出た。
◇
一方、そのころの私は、部屋のベッドでウトウトしていた。
夕飯を食べ終え、ロウソクの明かりで読書をし、眠くなったら寝る、というのが私の日課だからだ。
そんな私の部屋に母さんがやってきた。
「ムスイ、モコモコちゃんが来たわよ~」
「………ん、あ、は~い」
ファ~ッ………。
そうだそうだ。モコモコが来ると言っていたな。
少し眠いけど、約束だから仕方がない。
私は眼をこすって、上着を着て、部屋を出た。
玄関の方に行くと、母さんとモコモコが話をしている。
「アレをやるのね?」
「うん!」
二人とも、何か楽しそうだ。
母さんはモコモコが私をどこに連れていくのか知っているようだった。
「あ、やっときた。
ムスイ、もしかしてもう寝てたの?」
むむ………、痛いところを突いてくる。母さんから聞いたな。
「い、いや~、別に………。ちょっとあくびが出ただけだよ」
「フフフ、そうなんだ~」
私は白々しく誤魔化す。
母さんとモコモコは顔を見合わせて笑っている。
ま~、そんなことはどうでもいい。
「母さんはモコモコがどこに行こうとしているのか知ってるみたいだけど?」
「さ~? どこに行くのかな~?」
白々しくとぼける。
そんな私と母さんを見て、モコモコがせかす。
「い~からい~から、早く行こ!」
モコモコは私の腕をつかみ、一生懸命に引っ張る。
「わかったわかった。それじゃあ行こうか」
私は靴を履く。
「暗いから気を付けるのよ~」
「は~い」
モコモコが返事をし、一生懸命私の手を引っ張る。
何をそんなにウキウキしているのやら。
そんなことを考えながら、外に出てみると………。
(パ~~~ッ!!)
そこに、私がイメージしていた「夜」は無かった。
予想以上に明るい。いや、明るすぎる。とても夜とは思えない明るさだ。
いや、夜なのに明るすぎる。この明るさの正体は一体なんだ!?
私は上空を見上げる。
すると………、そこには私の想像を絶するものが存在した。
「うおお………、こ、これは………」
世界を青白く照らす明るさの正体が分かった。
それは、「巨大な地球」だった。
いや、「地球のように見える巨大な月」と言うべきか。
それに、月と言ってもスケールが違いすぎる。
地球で見たときの月と比べると10倍以上の大きさだ。
こんなものが夜空に浮かんでいただなんて………。
だんだん落ちてきて、地面に衝突するのではと思えるような存在感だ。
私がその存在に驚き、動けなくなってしまっているのを見て、モコモコは少し驚いた。
「ムスイ、もしかして、月を見たことが無かったの?」
「月? これが月なのかい?」
「うん、そうだよ」
「月………、なるほど、月か~。初めて見たよ………(この世界では)」
私はまだ呆気に取られている。
「ほんと、すごいよね。
私も初めて見たときはビックリして見とれちゃった。
今のムスイみたいに」
モコモコはとても嬉しそうにそう言った。
私をビックリさせることができて、とても満足って感じだ。
「なるほど~、この月で私をビックリさせようと思ったのか~
これは確かにビックリするな~。参ったよ」
そういう私に、モコモコはブンブンと首を振る。
「違う違う。そうじゃないよ。
私がビックリさせようと思ったのは、コッチ!」
そう言って、モコモコは私の腕をグイグイと引っ張り、あるところに連れて行った。