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第12話(一)無罪の食材
「今日のテーマは……ムスイ君じゃ」
それを聞いて、皆はニンマリと笑みを浮かべる。
「うむうむ、やはりムスイ君か」
「ムスイ君じゃろうな~」
「ワシもムスイ君じゃと思っておったぞ」
村長は皆に「ぜんざい」を出す。
「これがムスイ君がモコちゃんのためにつくった料理じゃ
名を『ぜんざい』というらしい」
「ほ~ほ~、見たことの無い料理じゃな」
「黒い汁に……、丸い団子?」
「これはどういう食べ物なんじゃ?」
「これはな……甘い豆の汁物なんじゃよ」
それを聞いて、皆は衝撃を受ける
「な、何じゃと! 甘い豆じゃと!?」
「豆を甘くしたと言うのか?」
「そんな食べ方、聞いたことも無いぞ!」
「うむ、そうじゃな。
ムスイ君はそれを作り、病気のモコちゃんに持ってきたという話じゃ
まずは食べてみて下され」
「ふむ、それではいただくとしよう」
みなは『ぜんざい』を口にした。
「こ、これは!」
「甘い! 甘いぞ、この豆は!」
「何という甘さじゃ! これはいかん!」
そう言いながら、ガツガツむしゃむしゃと皆は食べた。
「お変わりはないのかな?」
「残念ながら、無い」
「そうか……無念じゃ」
「しかし、どうしてムスイ君はこのような食べ物を?」
「そういえば……、聞いたことがある」
田吾作さんが話し始めた
「都会には『逆張り』という思想が存在するそうじゃ」
「逆張り?」
「逆張りとは、正しいことの逆の行動をとることで注目を集めようとする行為のことじゃ。つまり、『かまってちゃん』が行う行動ということじゃな」
「かまってちゃん!?」
「都会ではそのような思想が流行しておるのか」
「どうしてそんな愚かなことをするんじゃ?」
「そうじゃ、そうじゃ、そんなの、人として情けないことじゃぞ」
「そうじゃ。そうなんじゃがな~……
そうしなければ生きていけない、情けない者もおるものなんじゃよ……」
「何ということじゃ……」
「嘆かわしいことじゃ……」
「悲しい話じゃのう……」
「そして、それをムスイ君が取り入れてしまっておる、というわけじゃな」
「都会に言ったことなど無いというのにの~……」
「都会に行かずして、時代の最先端に追いついたというわけか……」
「う~む……、さすがじゃな」
「そうじゃな、さすがムスイ君じゃ」
「それでこそムスイ君じゃ」
「ムスイ君はわしらの想像を常に超えてくるの~」
「だが………、ワシらのムスイ君が間違った道に進んでおることは間違いない」
「そうじゃの~……嘆かわしいことじゃ」
「ならば、やるべきことは決まっておる」
「うむ、ムスイ君が間違った道を進んでおるのであれば、正しい道に戻してやるのが大人の役目というものじゃな」
皆は顔を見合わせる。そして、うむうむ、と言わんばかりに首を縦に振る。
(ピシャ~ゴロゴロゴロ~!!)
そして、建物内だというのに、謎の雷鳴が響き渡るのであった。
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